コンサルティング業界情報

Industry Information

コンサルタントとは

コンサルタントとは、企業や官公庁などのクライアントに対し、情報収集・現状分析・課題の特定を行い、解決策の提案から実行支援までを担うプロフェッショナル人材です。自社の製品やサービスを売るのではなく、中立的な立場から知見を提供し、クライアントの意思決定や変革を支援します。

戦略立案、業務改革、IT導入、人事制度設計、M&A、事業再生など、扱うテーマは多岐にわたり、ファームやプロジェクトの特性によって支援範囲は異なります。

コンサルティングファームは、少人数の独立系からグローバル展開する大手まで幅広く存在し、それぞれが専門性や強みを活かしたサービスを提供しています。

コンサルタントの仕事

コンサルタントの業務は、クライアント企業や官公庁が抱える課題の解決に向けて、情報収集・分析から提案、実行支援に至るまで多岐にわたります。仕事は基本的にプロジェクト単位で進行し、期間は数週間から数ヶ月に及ぶのが一般的です。1つのプロジェクトに対し、数名から十数名のチームで対応し、クライアントの経営層や現場と密に連携しながら業務を進めます。

提案フェーズ(案件獲得)

  • クライアントの課題やニーズをヒアリング
  • 解決方針の仮説構築と提案書(プロポーザル)の作成
  • プレゼンテーションによる提案活動
  • プロジェクト計画の提示(スコープ・体制・金額など)

このフェーズでは、クライアント企業の意思決定層に対して、課題解決の方向性や自社の支援体制を示すことが求められるため、主にマネージャーやパートナーといった上位職が中心的役割を担います。若手メンバーは調査や資料作成などのサポートを行い、実務を通じて業務理解を深めていきます。

デリバリーフェーズ(案件実行)

  • 現状分析(ヒアリング、データ分析、現場観察など)
  • 課題の抽出と論点整理
  • 解決策の立案と資料化
  • クライアントへの報告・提案
  • 実行支援(改善施策の導入、業務設計、PMOなど)

プロジェクトが始動すると、コンサルタントやアナリストが中心となって業務を推進し、マネージャーは進行全体の設計や品質管理を担います。クライアントと密接に関わることで、論理性に加えて高いコミュニケーション力や実行力も問われる領域です。

代表的なコンサルティングテーマ(例)

  • 経営戦略の立案(例:中長期成長戦略、新規事業開発)
  • 業務プロセスの改善(例:オペレーション改革、生産性向上)
  • IT導入支援・DX推進(例:基幹システム刷新、AI活用)
  • M&Aや企業再生の支援(例:PMI支援、ターンアラウンド支援)
  • 人事制度設計・組織開発(例:評価制度の再構築、組織風土改革)

コンサルティングファームの分類

コンサルティングファームは、取り扱うテーマや得意領域に応じて以下のように分類されます。近年では各ファームがサービスの幅を広げており、分類は必ずしも明確に分かれているわけではありませんが、代表的な枠組みとしてご紹介します。

戦略系コンサルティングファーム

経営戦略や新規事業立案、グローバル展開など、企業の中長期的な成長を支える「戦略立案」を中心に支援するファームです。CxOクラスと直接議論しながら、企業の方向性を共に描く役割が求められます。一部ファームはオペレーションやIT領域にも対応しています。

代表的ファーム:

マッキンゼー・アンド・カンパニー / ボストン コンサルティング グループ(BCG) / ベイン・アンド・カンパニー / A.T. カーニー / ローランド・ベルガー など

総合系コンサルティングファーム

戦略から業務改善、システム導入、運用保守に至るまで、経営課題を一気通貫で支援する大規模ファーム群です。多様な業界・業種に対応し、機能別・業界別の組織で専門性を発揮します。近年ではデジタル変革(DX)への対応も重視されています。

代表的ファーム:

アクセンチュア / デロイト トーマツ コンサルティング / PwCコンサルティング / EYストラテジー・アンド・コンサルティング / KPMGコンサルティング / アビームコンサルティング / ベイカレント・コンサルティング など

FAS系コンサルティングファーム(財務・M&A・再生)

M&A支援、企業再生、バリュエーション、フォレンジック、財務DD(デューデリジェンス)などを中心に手がけるファーム群です。財務や会計の専門性に加え、PMIや戦略支援まで対応領域が拡大しています。

代表的ファーム:

KPMG FAS / デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー(DTFA) / PwCアドバイザリー / EYストラテジー・アンド・トランザクション / クオンツ・コンサルティング など

業務IT・DX系コンサルティングファーム

T戦略の立案からシステム導入支援、業務改革、データ活用までを包括的に支援するコンサルティングファーム群です。 基幹システムの刷新、クラウド移行、AI・データ分析の活用などを通じて、クライアントの業務変革やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を担います。 プロジェクトによっては、SI(システムインテグレーター)との連携を前提とするケースもあります。

代表的ファーム:

フューチャー / ディルバート / クニエ / シグマクシス / SHIFT / シンプレクス など

組織人事系コンサルティングファーム

人事制度設計、人材開発、組織開発、チェンジマネジメントなど、HR領域に特化した支援を行うファーム群です。評価制度や人材マネジメントに加え、M&Aや再編時の組織設計支援なども含まれます。

代表的ファーム:

マーサージャパン / コーン・フェリー・ジャパン / タワーズワトソン / リンクアンドモチベーション など

シンクタンク系コンサルティングファーム

調査・政策提言などに強みを持ちつつ、経営・IT領域でもコンサルティングを展開するファーム群です。親会社が金融機関や通信企業であるケースも多く、官公庁案件に強い傾向があります。

代表的ファーム:

野村総合研究所(NRI) / 三菱UFJリサーチ&コンサルティング / 日本総合研究所 / NTTデータ経営研究所 など

監査法人アドバイザリー部門

大手監査法人に属し、内部統制、サステナビリティ、リスクマネジメント、財務アドバイザリーなどを担う部門です。会計・監査との連携によるガバナンスやESG対応など、近年の経営課題に対応しています。

代表的ファーム:

PwCあらた有限責任監査法人 / EY新日本有限責任監査法人 / 有限責任監査法人トーマツ / あずさ監査法人 など

キャリアパスと役割

コンサルティングファームのポジション(職位)は、経験年数や期待される役割に応じて段階的に分かれており、一般的には以下の4階層が基本となります。

  • アナリスト(リサーチャー、ジュニアアソシエイトなど)
  • コンサルタント(アソシエイト、シニアアソシエイトなど)
  • マネジャー(シニアマネジャー、ヴァイスプレジデントなど)
  • パートナー(プリンシパル、ディレクターなど)

ファームごとに呼称や職位体系は異なりますが、おおよそ同様の構造となっており、実力次第で若くしてマネジャー、パートナーへと昇進することも可能です。

アナリスト

対象層:新卒、第二新卒、未経験からの中途入社者

主な役割:情報収集・データ分析・資料作成など、コンサルタントやマネジャーの指示に基づく実務

論理的思考やビジネスの基礎を学びながら、コンサルタントとしての土台を築くフェーズです。一般的に2〜4年でコンサルタントへの昇進を目指します。

コンサルタント

対象層:社会人経験2〜6年程度の中途採用者、MBAホルダー、アナリスト経験者

主な役割:モジュール(特定テーマ)の担当として、仮説構築、検証、クライアントへの提案資料作成など

担当領域において自走的に分析を進め、成果物の品質責任を担います。3〜5年でマネジャーへの昇進を目指します。

マネジャー

対象層:コンサルタントとして実績を積み、複数プロジェクト経験のある人材

主な役割:プロジェクト全体の計画・推進・品質管理・チームマネジメント、クライアント対応全般

クライアントの信頼を得ながらプロジェクトを完遂する現場の責任者です。マネジメント力、判断力、交渉力が問われます。パートナー昇進には営業力(案件創出力)も必要です。

パートナー

対象層:長年の実績を積んだ上級職、または営業・組織マネジメントで卓越した能力を持つ人材

主な役割:プロジェクト獲得(営業)、経営層とのリレーション構築、ファーム全体の経営戦略や組織運営

プロジェクトの最終責任者として、提案活動から全体統括までを担います。クライアント企業の経営陣と対等に議論し、継続的な信頼関係を築くことが求められます。

年収水準

コンサルタントは高収入な職種として知られていますが、実際の年収はファームの種類(戦略系/総合系)や職位、個人の成果によって大きく異なります。以下に一般的な年収レンジをポジション別にご紹介します。

※実際の金額はファームの報酬制度や為替動向等により前後する場合があります。

アナリスト

戦略系:

600万円〜1,000万円

総合系:

500万円〜800万円

新卒・第二新卒などの若手が担当するポジションです。情報収集・分析・資料作成を担い、他業界と比較しても高めの初任給水準となっています。

コンサルタント

戦略系:

1,000万円〜1,500万円

総合系:

700万円〜1,000万円

実務をリードする中核ポジションです。一定領域を担当し、仮説構築・資料作成・クライアント対応を自律的にこなします。昇進や成果次第で早期に年収1,000万円を超えることもあります。

マネジャー

戦略系:

1,500万円〜2,500万円

総合系:

1,000万円〜1,500万円

プロジェクトの責任者として、チーム統括・進捗管理・クライアントとの折衝を担当。戦略系では2,000万円を超えるケースもあります。

シニアマネジャー/ディレクター

戦略系:

2,000万円〜3,000万円

総合系:

1,500万円〜2,000万円

マネジャーとパートナーの中間的ポジションで、より複雑な案件や複数プロジェクトの統括、営業責任を一部担うこともあります。

パートナー

戦略系:

3,000万円〜1億円以上

総合系:

2,000万円〜1億円以上

ファーム経営に携わり、営業・案件統括・採算管理などを行う最上位職です。個人の業績によっては、億単位の年収も珍しくありません。

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